2008年9月14日日曜日

The Cure/Wish

1992年。9thアルバム。





日本盤の帯の文句は、『深き音の谷間より・・・ ザ・キュアー 3年振りのニュー・アルバム。』

この時期のThe Cureはバンドとして正に黄金期にあったと思う。

89年、レコード会社から酷評されたアルバム"Disintegration"が全世界で大ヒットし、シングルカットされた"Lovesong"は全米1位を獲得。

90年に BRITS AwardsのBest British Music Videoに"Lullaby"が選ばれ、翌91年には、MTVのUMPLUGGEDに出演、更にBRITS AwardsのBest British Groupに選ばれる。

これにより、それまでのカルト・グループから完全に脱却し、国民的バンドとしての地位を手に入れた。

そして満を持してリリースされたこのアルバム"Wish"は全米2位、全英1位の最高位を記録する...。

その完成度の高さと内容の充実さは、かつて存在した日本のファンクラブの人気投票で常に1位に輝いていたことからも察せられる。

トリプル・ギターが奏でる重厚で壮厳なテクスチャは、まさしく唯一無二の存在。

そして突き抜けるようなポップ・ソングから絶望の淵で佇むようなダーク・ソングへと変幻自在に行き交うソングライティングも、円熟の域に達した感がある。

"Disintegration"でいったん燃え尽きたかに見えたRobertの熱は、しかし完全に消えてはおらず、リハビリ的な意味も含めて英国内のライヴハウスを回って徐々にプレイの勘を戻しながら、この"Wish"のレコーディングを行った。
(その模様の一部はビデオ"Play Out"で見ることができる。)

これが功を奏したのか、肩の力が抜けた自然体の内容でありながら、非コンセプトアルバムの中では最も統一感が取れている作品となった。

オープニング"Open"からラストの"End"まで、各楽曲がまるで人生を凝縮したかのように幾重も多様な感情で紡がれ、ある種一大叙事詩と化している。

そしてこの後、"Wish Tour"を経てPorl ThompsonとBoris Williamsが抜け、黄金期は終焉を迎えた。

ちなみに、元々は2枚組になる予定で、もう一枚はインストゥルメンタルのアルバムだったらしいが、最終的には別作品("Lost Wishes")としてリリースされた。

収録曲

01: Open
02: High
03: Apart
04: From The Edge Of The Deep Green Sea
05: Wendy Time
06: Doing The Unstuck
07: Friday I'm In Love
08: Trust
09: A Letter To Elise
10: Cut
11: To Wish Impossible Things
12: End

参加メンバー

Robert Smith (Voice, Guitar, 6 String Bass, Keyboards)
Simon Gallup (Bass, Keyboards)
Porl Thompson (Guitar)
Boris Williams (Drums, Percussion)
Perry Bamonte (Guitar, 6String Bass, Keyboards)


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