初期の最高傑作との呼び声も高い前作"Faith('81)"で、それまでのモノクロームでストイックなミニマルサウンドは一旦の完成をみた。
そしてシングル"Charlotte Sometimes('81)"を跨いで、本作にてリズムマシンとシンセサイザーを大幅に導入し、極彩色がうねるへヴィーでダークなサイケデリック・サウンドへと変貌を遂げる。
プロデューサーは、後に正式メンバーとなるPhil Thornalley。
アムステルダムの娼婦小屋を覗いている場面であるというスリーヴからして、はっきり言ってこの頃のCureは尋常でない。
レコーディングは極度の緊張感の中行われ、バンド内の雰囲気も最悪であったという。
特にRobertとSimonは一触即発の状態となり、結果としてSimonがバンドを去ることになる。
"Trilogy('03)"に収録されているメンバーインタビューにおいて、Simonはこの時期のことを本当に辛そうに語っていた。
20年以上経った現在もかなりのトラウマとなっているほど、状況は酷かったみたいだ。
アルバムの最後で、Robertはこう唄っている。
"I must fight this sickness"
"Find a cure"...
日本ではこのアルバムがデビュー盤にあたる。
帯の文句には、『噂のグループ、ザ・キュアー、遂に日本上陸。病める大英帝国、悶悶たる日々、暗闇の中、階段を這い上がる。』と少々電波気味な文章が書かれている。
また、一昔前の洋楽の日本盤には、レコード会社が勝手につけたと思しき邦題が付いていたのだが、このPornographyのそれが凄まじくて、初めて見たときに衝撃を受けた覚えがある。
一例を挙げると、
One Hundred Years → 血ぬられた百年
The Hanging Garden → 首吊りの庭
The Figurehead → 幻影地獄
Pornography → 殺戮の囁き
当時のCureの日本におけるパブリック・イメージを物語っているといえよう...。
収録曲
01: One Hundred Years
02: A Short Term Effect
03: The Hanging Garden
04: Siamese Twins
05: The Figurehead
06: A Strange Day
07: Cold
08: Pornography
参加メンバー
Robert Smith
Simon Gallup
Laurence Tolhurst
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