2008年9月14日日曜日

The Cure/Wild Mood Swings

1996年。10thアルバム。





日本盤の帯の文句は、『大山鳴動 "ウィッシュ"以来実に4年振りとなるニュー・アルバム遂に登場。再始動を強く印象づける力作!』

"Wish Tour"の後、Porl Thompsonは画家しての活動に専念するためバンドを離れた。Robert Smithはさほど痛手とは思っていなかったようで、残ったメンバーで映画「Crow」に提供された"Burn"のレコーディングやフィンスベリー・パークで行われたX-FMのコンサートへの参加を行っている。

ところが、そのうちにBoris Williamsが恋人であるCaroline Crawleyとの活動のためバンドを抜け、さらにSimon Gallupまでもが個人的な理由(前夫人との離婚問題)からバンドを離れると、さすがのRobertも危機を覚えたようだ。

Robertは当時を振り返って
僕とPerryが残されたってわけさ。何をするべきかわからずにお互いの目を見合って...これで終わっていくんだなって思っていたのを今でも覚えているよ
と語っている。

しかし、ここからRobertは本気を出す。

Simonを説得して戻し、"Disintegration"期のキーボーディスト・Roger O'Donnellを復帰させ、250人のドラマー候補の中からJasonを加入させて(16人とオーディションし、7人と一緒にレコーディングを行ったという。)、何とかバンド体制の存続に漕ぎつける。

さらに、アルバムタイトルには元々自身のソロアルバムのタイトルとして温めていた"Wild Mood Swings"を採用するほどの力の入れようであった。

そんなわけで、リリース当時のRobertはノリノリで、アルバムからの1stシングルカット"Mint Car"は売れすぎて困ってしまうかも、などと放言していたほどである。

しかし蓋を開けてみれば売上げはさほど芳しくなかったようで、後にはRobert自ら駄作の烙印を押していた。
当時はブリットポップなる謎のムーブメント全盛で、80年代のバンドは皆苦戦していたように記憶している。

この失敗が、次作"Bloodflowers"での解散宣言に繋がることになる。

そんな感じでどうも不遇な扱いの作品なのだが、全体的にバラエティに富んでいて、各曲の完成度は高いと思う。
珍しくRobertの低音ヴォーカルが聴ける、Simon作曲の"Club America"、ジェットコースターのような疾走感が感じられる好ポップ・ソング"Return"、RobertとSimonが不治の病の女の子(Cureファン!)を見舞った時のことを歌った、涙なしでは聴けない"Treasure"など、聴きどころは多い。

個人的にはリアルタイムで手に入れた初めてのアルバムで、思い入れが強い。

この頃はまだ全米2位、全英1位を獲得した前作"Wish"の余韻が残っていて、CDショップでの扱いも良かった。
(新宿のVirginでは店内のモニターでプロモーション用のビデオが頻繁に流されていた。)

あとアルバムのプロモーション時の激痩せしたRobertにかなり驚いた記憶がある。もちろんあっという間にリバウンドしてたが...。

収録曲

01: Want
02: Club America
03: This Is a Lie
04: The 13th
05: Strange Attraction
06: Mint Car
07: Jupiter Crash
08: Round & Round & Round
09: Gone!
10: Numb
11: Return
12: Trap
13: Treasure
14: Bare
15: It Used to Be Me*

* Bonus track on the Japanese version

参加メンバー

Robert Smith (Voice & Guitars & 6-String Bass)
Simon Gallup (Basses)
Perry Bamonte (Guitars & 6-String Bass)
Roger O'Donnell (Keyboards)
Jason Cooper (Drums & Percussion)


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