何をやってもずっとそう、何をやってもうまくいかず、自分勝手で我儘な父親と、優秀で狡賢い兄に否定され続けて、家庭に居場所はありませんでした。
思春期に入ってより悪化し、同級生たちのノリにもまったくついていけませんでした。
(今でもそうですが)あの年頃のギラギラした感じの人たちが苦手で・・・。逃げるように自分の殻に閉じこもって、そんな中で音楽にはまっていきましたが、それでも居心地の悪さは解消されませんでした。
好きな音楽の煌びやかなロック・アーティストたちを見て、「自分はああはなれないし、そしてなりたくもない」という思いがあって苦悩はより深くなるばかりでした。
そんな僕でも、20歳を過ぎたころにThe Cureの「Disintegration」に出会えたことで、少しずつ変わり始めます。
The Cureが描き出す美しくも残酷な世界の中では、僕が違和感なく僕のままで居られて、許容してもらえるという、それこそ生まれて初めての肯定感を味わいました。
それで救われて、変われた。
それで「Disintegration」の世界観でバンドを始めました。
でもあまりうまくいかず、一回だけライヴやって解散しました。そんなときに出会ったのがギタリストのRyuです。
スタンダードなロック・ギタリストである彼と出会って、僕の曲に彼のロックギターがのったことで、「なんだ、僕の曲でもロックバンドとして成立するんだ」という肯定感が得られたんです。これでまた変われた。
その頃に作ったのが「FALLINGDOWN」というデモです。
今聴くと、いろんなタイプの曲を作ろうとしていたのがわかるんですが、それはRyuと組んでソングライティングに自信がついたからです。作曲者としての自分を色々試してみたかったんです。
ただ、その時点では作詞はまだ試行錯誤の段階で、メロディと曲の雰囲気から何となくそれっぽい言葉を並べて作っていたんですけど、悪くないんですがちょっと違うかなという思いがありました。
2000年頃に「罪」という曲を書いたのですが、そこで詞に自分の心のうちをストレートに載せたんですね。全編日本語で。そうしたらすごくしっくりきました。英語は母国語ではないので、微妙なニュアンスが描けないんです。
だから、「罪」以降はほぼ全部日本語です。
ここでもうバンドのフォーマットとしては完成したと思っています。
Mikageというパーソナリティから生まれる曲と詞、これにロックギターを合わせること、これがVISION OF HELLのコアです。
バンドが本格的に活動していた頃からずいぶんと年を取りましたが、相変わらずうまくいかないことだらけですし、取るに足らない人間であることも変わらないのですが、そんな僕みたいな人間でも悪足掻きとして音源を世に残せたのは、僕の人生にも少しは意味があったと思える、そんな肯定感を得ることができました。
というわけで、再始動は無事果たせましたので、2011年の大晦日から始まったこのシリーズもここでおしまいです。読んでくださってありがとうございました。
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