Fools Danceは、82年にThe Cureを離脱したSimon Gallupが翌83年に結成したバンド。
元はSimonが、同じく元CureのMatthieu Hartleyらとともに結成したThe Cryというバンドが母体で、同名のバンドがいたため改名して仕切り直しとしたらしい。
Matthieuはこの作品に参加していないので、結成後割と早い段階で抜けたようだ。(その後動物園で働いていたとか。)
ヴォーカルのGary BiddlesはCureのローディー出身で、Fools Danceの後にはLolとともにPresenceを結成している。
Fools Dance、Presenceともに楽曲は良いのにCureのパクリ扱いされ、短命に終わったバンドで、その中心にいたGaryは悲運の人物という印象がある。
(そういえばPresenceも初期にMichael Dempseyが参加していたので、元Cure二人+Garyという構図がFools Danceと奇妙に一致している。)
本作のジャケットに写っているメンバーは、左からSimon、Gary、ギターのStuart Curranの三人。
初めて見たときは「Robertのニセモノがいる!!」と衝撃を受けた。
このジャケはUK盤のもので、他の国でリリースされたものは別のジャケットが使用されている。
(メンバー全員が揃ったものもある。詳細はこちら。)
Simonのネームバリューと、ゴシック色の強い楽曲で、それなりに期待されていたところがあったようだが、結局85年にSimonがCureに復帰したことにより、バンドは終焉を迎えてしまう。
Simonの復帰の経緯についてRobert Smithは、以下のように語っている。
サイモンはそのころFools Danceのベーシストだった。ちょうどミニ・アルバムも出したばかりだったから、僕はFools Danceのメンバーからずいぶん恨まれたよ。でも、僕はサイモンに無理じいしたわけじゃない。彼自身が僕達といっしょにやろうと決めたんだ。僕だってもちろん、サイモンが戻ってきてくれたらいいなとは思っていたけどね。フィルとアンディーでは、真のキュアーとは言えなかったし。
なお、Ron HoweはThe Cureの85年のアルバム"The Head On The Door"にゲスト参加している。("Night Like This")
当時のFools Mateにレビューが載っていて、当時の空気を表していると思われるのでここに引用しておく。
ジャケットをチラッと見て、ちょっと面白そうなバンドは裏ジャケットのデータを見て、レーベル名とかプロデューサーの名前とか、メンバーに知ってる人がいないかどうかとかで、だいたいの見当をつけるというのが、知らないグループのレコードを買う時の基本。今回は裏ジャケを見てサイモン・ギャラップの名前を見つけた時は、「おっ、キュアーのオリジナル・メンバーじゃん」とつぶやいたのだが、一緒に居た某君に「表ジャケットに書いてあるよ」と言われた時には興冷めでした。シールを貼ったりするのは解るけど、「サイモン・ギャラップ/CURE」って刷り込んであるのだから、うーん、情けない。とりあえず、音の方は初期キュアにも聴かれた、ゆっくりとしたテンポのネオ・サイケ・サウンドで、キュア・ファンなら感動モノの作品。音が良かっただけに、こういうコソクなプレイが(しかもCUREという字がひときわデカイ)、とても、とてもミジメなのでした。それさえなければ実に好感のもてる一枚。ミニLP。
Fools Danceの作品(といってもEP2枚しかないが)はLPでしかリリースされておらず、入手が非常に困難だったが、現在はなんとMySpaceで収録曲をほとんど聴くことができる。
すごい時代になったものだ。
収録曲
01:The Priest Hole
02:Happy Families Waiting (At The Skylab Landing Bay)
03:I'm So Many (Talk Talk)
04:Sa'Ha
05:The Don Diddy Song
参加メンバー
Gary Biddles (Vocals)
Stuart Curran (Guitar)
Simon Gallup (Bass)
Pete Gardner (Drums)
Ron Howe (Saxophone)
The Cureのファンサイトを見ておりましたら、2曲目のHappy Families WaitingのボーカルもSimon Gallup氏であるよ、という話が出ておりました。
返信削除YouTubeで聴いた感じでは確かにSimonっぽいのですが、どう思われますか?
コメントありがとうございます!
返信削除なるほど、"Happy Families Waiting"もSimonヴォーカルなんですか。
"The Ring"は低い方の声で、"Happy Families Waiting"は高音かつGary特有の唄い方がそれほど見出せないので、分かりにくさがありますね。
ただ、改めて聴いてみて声質がGaryのものに感じることと、自分が調べた限りではSimonヴォーカルという情報は無かったこともあって、Garyヴォーカルなんじゃないかと思いました。英語版Wikipediaにも「Biddles sang most of the songs that were released by this band, Gallup sang on one called "The Ring". 」って書かれていました。
Depeche Modeで、自分はよくDavid GahanとMartin Goreどっちが唄ってるのか分からなくなるのを思い出しました^^;